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映画

『監督失格』×ポレポレ東中野企画【性と死と旅】第一夜【センチメンタルジャーニー】

 ポレポレ東中野のオールナイトを見に行って来ました。
『監督失格』×ポレポレ東中野企画【性と死と旅】

「性と死と旅」プログラムにあたって掲げたコンセプトですが、それは映画製作者として常に気になる主題でもあります。
今回選び抜いた作品は、同業者として嫉妬を覚えるぐらい見事にこの主題を突破し、さらにエンタテインメントへと昇華しています。
アダルトビデオ業界が生んだ希有な映像作家たちの、渾身の一作をどうぞご堪能ください――『監督失格』製作 甘木モリオ
★第一夜【センチメンタルジャーニー】
開催日時 : 3/10(土) 開場23:15/開映23:30(終了5:30)
■スペシャルトーク!
 甘木モリオ(『監督失格』製作者)
 直井卓俊(『あんにょん由美香』プロデューサー)
■上映作品
『あんにょん由美香』 演出・構成:松江哲明
『劇場版 私を女優にして下さいAGAIN11』監督:カンパニー松尾
『わくわく不倫講座 楽しい不倫のススメ』 監督:平野勝之
★第二夜【北海道自転車3部作一挙上映】
開催日時 :  3/17(土) 開場23:15 開映23:30(終了6:00)
■平野勝之監督の舞台挨拶あり!
■上映作品
『由美香』 監督:平野勝之
『流れ者図鑑』 監督:平野勝之
『白 THE WHITE』 監督:平野勝之  

 私を女優にして下さいAGAIN11の劇場版ですって?!更に去年の11月に渋谷のアップリンクでやってた『監督失格』公開記念平野勝之監督特集で上映されたんですが見にいけなかった『わくわく不倫講座 楽しい不倫のススメ』もやるのか!『わくわく不倫講座 楽しい不倫のススメ』は前日の東良美季氏とカンパニー松尾監督のトークショーで松尾監督が「面白いから見に行け」というような事をおっしゃっておられたけど見に行けなかったので気になってたのですよ。これは絶対行かないと!って事で行って来ました。

 って訳で当日。夕方に外出先から家に戻り、時間があったのでベッドでゴロゴロしてたら寝てしまう。ふっと目覚めて時計を見たら22:50。…ぎゃあ!寝過ごした!慌てて飛び起きて10分で家を出て自転車で東中野へ。この時間だと電車の本数が少なくなってるので電車で行くより早いと判断して自転車で行ったのですが、どうやらその判断は正しかったようで23:25頃に無事ポレポレ東中野に到着しました。
 ロビー付近にも結構お客さんが居て、中に入ってもかなり客席埋まっていました。女性のお客さんもそこそこの割合居ました。やっぱ監督失格関係のイベは強いね!そんな中、客席で一緒に見る約束をした子と無事合流し、挨拶などをしているとすぐに甘木モリオ氏と直井卓俊氏のトークショーが始まりました。

 甘木モリオ氏、お名前聞いただけではピンと来なかったのですが、去年の10月1日に東放学園映画専門学校で行われた わくわくドキュメンタリスト養成講座 平野勝之×カンパニー松尾というイベントでも司会というか進行というか、そういう役目をしておられた方でした。
 わくわくドキュメンタリスト養成講座、私も見に行ってたんですが、結構しっかりしたカメラでイベントの模様を収録していて、DVDになる時に特典映像として収録される、みたいな事をその時に告知されていたのでトークショーの内容をブログにするのを控えていたのです。でも、3月23日に発売される特典DVD付きの収録内容見てもその日のトークショーの映像は入っていないっぽいです。一応その場で取ったメモは残してあるんですが、なかなか面白いお話を色々されてたのでそのうち何かの特典映像として収録されるのを待っております。

 トークショーの内容は結構ライトな感じ。『私を女優にして下さいAGAIN11』のタイトルを『私を女優にして下さい11AGAIN』と2人して勘違いしていた挙句、「AGAINって何でしょうね?」とか言ってはりました。
 HMJMマジヲタの私が解説致しますと、この『私を女優にして下さい』は松尾監督がV&Rに居た1991年7月から始まった松尾監督のライフワークとも言えるシリーズです。松尾監督がV&Rを辞めてHMJMを立ち上げた後もV&Rに話をつけて『私を女優にして下さい』というタイトルとこのシリーズの主題歌をHMJMで使わせて貰えるようにして今でもずっと続いています。V&Rから出ている作品が『私を女優にして下さい○(○には何作目かを示す数字が入ります)』、HMJMから出ている作品が『私を女優にして下さいAGAIN○』というタイトルになっています。だから、このAGAINが付いてる作品はHMJMから出てるシリーズですよって事を表してます。
 HMJMになってからは半年に1回位のペースでリリースされていた私を女優にして下さいシリーズですが、今回上映された11の後は出てませんでしたが、4月28日に私を女優にして下さい AGAIN 12 聖蹟桜ヶ丘・赤坂・本厚木 トラウマ復活売却編が発売されますよ!11が発売されたのが2011年4月ですからちょうど1年ぶり!松尾監督がヘルニアになってAV監督生命の危機に陥った様子が描かれている10から今回劇場版まで作られる事になった11がすっごい内容だったのでもしかしてこれでこのシリーズ一段落しちゃうのではないかとドキドキしてたので4月のラインナップが発表された時にほっとしました。
 トークショーの後半、来場されていた平野監督も壇上に上がってトーク。わくわく不倫講座にも登場する井口昇も今日池袋の新文芸坐でオールナイトをやってる、ウンコ野郎の癖に生意気だ、あいつは田舎から出てきたばっかりみたいな女に下剤を飲ませて×××みたいなのが好きだ、みたいなユルい話をしてはりました。…せっかくのトークショーなのにこんな話で良かったんですかねw面白かったですけど。



 1本目『あんにょん由美香』。林由美香さんの追悼トークショー@ロフトプラスワンで存在が確認された謎の日韓合作Vシネマ『東京の人妻 純子』と林由美香について松江哲明監督が色々調べていく、という内容の映画…という説明でいいのかな?
 出来上がった作品は『東京の人妻 純子』が話のメインになってますが、林由美香のピンク映画の代表作『たまもの』のロケ地・銚子をいまおかしんじ監督&共演者の華沢レモンさんと一緒に巡るシーンや、AVの代表作『東京~礼文島 41日間自転車ツーリングドキュメント わくわく不倫旅行 200発もやっちゃった!』で自転車旅行した北海道を平野監督と自転車で同じ道を旅行するシーンなどもあるので、もしかしたら最初は『東京の人妻 純子』をメインにした話にするつもりじゃなく、普通に由美香さんの代表作について色々描くつもりだったかったのかな?という気もします。それだとひっかかりが無さ過ぎるので『東京の人妻 純子』をメインに構成してみたらまとまったからこうなった、みたいな風に私には観えました。
 カン松信者としては『硬式ペナス』のロケ地を松尾監督と一緒に巡るシーンが興味深かったです。『硬式ペナス』は今年の2月に発売されたアダルトビデオ30周年企画・AV30シリーズのカンパニー松尾8時間の一番最初に収録されてて、最近見たばっかりだったので「おぉあの線路やん!」とかそういうのもあって超楽しかったのです。あそこに聖地巡礼行きたいな。由美香さんが食べたカレーというのを松江監督と松尾監督が食べてはったんですがめっちゃ美味しそうやった。でも銚子とか北海道はちゃんと作中で場所の名前も言ってたんだけど、硬式ペナスのロケ地はどこだって明確には言ってなかったような…これじゃ聖地巡礼出来ないじゃん!って事であのロケ地がどこだったのかご存知の方は教えて下さい。
 あと、あんにょん由美香の中で由美香さんの生い立ちについて説明するシーンもあるんですが、その中で『板橋第5中学校を卒業』という文字が出てきて「へぇー。やっぱ板橋なんや。お墓もお葬式も板橋やしなぁ」と思ってたら我が家のすぐ近所の中学校が板橋5中だった事に帰宅途中に気付いてすっげぇびっくりしました。オールナイトを見終わって帰る時、家の近所の交差点の信号をふっと見たら板橋第5中学前って書いてあってマジでひっくり返りそうになった。お葬式をすぐ近所の新板橋ホールでやってたのは知ってた(というか当日も前を通りがかかった)けどここの中学校通ってたって事は育ったのもすぐ近所やったのですね。
 このようなカン松信者心をくすぐるシーンやご近所エピソードをのぞいても、なかなか面白い映画でした。事前に思ってたより見やすくて楽しかった。ただ、最初馬鹿にするような感じで取り上げられてた『東京の人妻 純子』がいつの間にか重要な映画みたいな扱いになって、ラストに韓国から関係者を連れてきてああいう事をやる(映画の核心に触れる事柄なのでボカしてます)流れになっていくのには違和感を感じましたが。


 2本目『劇場版 私を女優にして下さいAGAIN11』。DVD版がとんでもない作品で、その劇場版という事で期待しまくってたのですが…なんかねぇ!納得行かない事になってましたよ!
 いや、悪くはないです。松尾監督がお父さんを看取る所を描いたドキュメント映画としてはちゃんとした作品になっています。一緒に行った子もめっちゃ泣いてたし。
 でも、劇場で上映する事を意識してかエロシーンを大幅に削っている為『物凄く実用性のあるアダルトビデオなのに監督の実の父親の介護から息を引き取る所までをしっかり描いている』というこの作品のとんでもない所が薄れてしまっているのです。これがもう本当に残念で残念で。
 レオンの完全版(ディレクターズカット)ってあるじゃないっすか。あれ、マチルダとレオンのラブシーンがあるんすよ。それって何かすっげぇ「台無しやん!」って感じしません?あの2人って絶対そういう事してたらダメじゃないっすか。そういう事がないっていう事を表す為にマチルダはあの年齢なんかと思ってたけどそうじゃないの?みたいな。そのシーンが入った事で映画の意味合い自体が変わってしまって残念な事になっちゃってる。
 エロシーンを削って『実用的なアダルトビデオである』という部分を無くしてしまったせいで、作品の意味合いが変わっちゃってるんですよ。とんでもない作品だったのが結構普通のドキュメント映画になってしまってて悲しいです。
 こういう方向で劇場版にする位ならエロシーン全部カットの全年齢対応劇場版で良かったんちゃうかなぁ。インタビューシーンのエロい部分を残す事でAV監督としての仕事をしているって部分は描けるし。何で中途半端にエロシーン残したんやろう。劇場でエロシーン流れたら笑う奴がおるのも腹立つねんなぁ。ああいう場でみんなで思いっきりAVの場面観てるという状況が面白いのは解るけど。もしくは松尾監督の喋りをメインに見て笑ってるのかも知らんけど。
 この作品は多分松尾監督の代表作として扱われるだろうし、今後も同じように劇場で上映される事がありそうな気がします。その際はDVD版をそのまま上映して欲しい。もしくは再編集して新劇場版にして上映して欲しい。とりあえず今回上映された劇場版は闇に葬って欲しいです。
 同じように劇場でかかった松尾監督の作品としては豊田道倫映像集3がありますが、こちらの作品は最初に上映された新宿Poo版とmoosic LAB Version-、そして地方上映版と編集が変わっていたので、多分次に私を女優にして下さいAGAIN11が上映される事になったら編集を変えはるとは思うのですが、その際には是非『普通のドキュメント映画』ではない作品になるような編集をお願いしたいです。って事でこれを読んでる皆さんはDVD版を買いましょう!
 でも私が納得してないだけで同じイベントを見に行っていたベボベの小出くんもやばかったって書いてたし、さっきも書いたけど一緒に行った子は泣きまくってたし、悪い出来ではないのです。私がDVD版に思い入れがあり過ぎるだけなのかも。
 DVD版は見終わった後にマジで「この作品で松尾監督は死んだらカンパニー松尾記念館が建つレベルの監督になった!」と思いましたもん。谷崎潤一郎とかそういうランクの人物になったと。今でこそ谷崎言うたら文豪や何や言われてますが、現役時代はエロ小説書いて稼いでるおっさんみたいな扱いやったらしいっすからね。何十年後かに松尾監督の研究をする学者さんの為に書いときますけどHMJMのウェブサイトに載ってるカンパニー松尾監督の作品リストはあくまでも松尾監督が監督した作品しか載ってないぞ!ハメ撮りのみならタートル今田監督や梁井一監督の作品にも結構出てくるぞ!特にタートル今田監督の卑猥なGカップ ありさとかは松尾監督のお気に入りの女優だったありささんだって事でまたやりたいと松尾監督がインタビューシーンに出てくる所などもあったりするので観といたほうがいいぞ!


 3本目『わくわく不倫講座 楽しい不倫のススメ』。最初のトークショーで平野監督が「今まで自分が作った作品の中でもかなり自信のある方に位置する作品だ」という様な事をおっしゃっていたAVでの代表作の1つ。平野監督が奥さんと結婚する事になったのとほぼ同時期に付き合っていたAV女優・志方まみさんとのラブラブな様子と同時に奥さんとのラブラブな様子も描かれている前半のドキュメント部分から、志方まみさんと別れ、彼女との十年後、二十年後を別の女優さんや井口昇監督に演じさせるフィクション部分にずるっと入っていくという構成の作品です。ノンフィクションだったのが暴走していって思いも寄らないエンディングに至るポストダイレクトシネマ。
 前半部分は志方まみさんの家などでイチャイチャしている場面がメインなんですが、その合間に入っているシーン見たら奥さんともすっごいラブラブなんですよ。おまけに結婚披露宴会みたいなのに志方まみさん出席させたりしてんの。ひっでぇwおまけに志方さんに振られた時に奥さんにその事相談したりしてるし。平野監督、客席に普通に居てはりましたが、見終わった後に女性客から石投げられても文句言えないっすよ!浮気してる男性ってあんなに奥さんとも浮気相手とも無邪気にラブラブ出来るもんなんだという部分は非常に勉強になりました。
 フィクション部分、二十年後の志方さんを井口昇監督が女装してコント的な感じで演じるのですが、おっさん二人でおしっこの飲ませあいをしたりという酷い場面もwこの他にも平野監督が自分に罰を与えるという事で男性のおちんちんをしゃぶったりする場面もあるんですが、昔のAVってこういうエロと関係のないというよりエロい気持ちが萎えるようなひっどい場面もバンバン入ってて豪華ですね。今はエロい部分ばっかりを繋いだようなヌキをメインに考えた作品ばっかりだ!というような文句を言ってる古くからのAVユーザーさんの声をよく聞きますが、エロいビデオを見ようと思ってわくわく不倫講座みたいな作品を手にした人はさぞがっかりするだろうと思うのでヌキメインの作品ばかりの今の方が正常だと思いますw

 色々書きましたが私を女優にして下さいAGAIN11はDVD版の方が凄すぎただけで劇場版も内容は良かったし、あんにょん由美香は思ってたより面白かったし、わくわく不倫講座は無茶苦茶やったしで内容充実しまくりのオールナイトでした。来週は平野監督3本立て!おまけに平野監督本人が監督失格のDVDのフライング手売りもするらしいよ!その場で1本売る毎に平野監督にもいくらか入るって!平野監督を儲けさせたい方は監督から直接買いましょう。





 この日の朝ご飯。桂花ラーメン新宿ふぁんてんの朝限定ふぁんてん丼500円。朝限定メニューなのに太肉にマヨネーズを掛けた丼モノ(結構しっかりした大きさの丼にご飯いっぱい)を出す方もどうかと思うけどそれをスープまで残さずたいらげる私もどうかと思うよ!…はい、めっちゃ美味しかったです。桂花のスープのみを頂けるのも嬉しいメニュー。桂花って昔からあるチェーン店だからラヲタには下に見られがちだけど結構美味しいよね。メニューも全体的に安めだしさ。細麺桂花だと500円っすよ。細麺桂花と半チャーハンのセットも800円だし。良いお店だよね。

『監督失格』公開記念平野勝之監督特集 ~入門編【2011年11月13日】

 『監督失格』公開記念平野勝之監督特集 ~入門編を見に渋谷UPLINKに行って来ましたよ!

 私が行った入門編は『由美香』の上映とカンパニー松尾監督と東良美季氏のトークショー、翌日のDEEP編は『21歳-みたされない隙間の時-』と『わくわく不倫講座 楽しい不倫のススメ』の上映と雨宮まみさん、ペヤングマキさんのトークショーという内容。
 渋谷の東急本店の先のお洒落ゾーンにあるお洒落な建物の中の映画館って事で女性客やカップル客多目の客層。…このイベの1週間前に秋葉原のエロDVD店で行われたHMJMのイベント(カンパニー松尾監督も出演)では全く見当たらなかったサブカルの皆さんや!話題の映画・監督失格の関連イベだからでしょうか。それともUPLINKという会場についているお客さんなのでしょうか。
 そして奇しくも今回のイベントのちょうど一週間後、11月19日にUPLINKの近所のオーディトリウム渋谷って映画館でHMJMナイツってオールナイト上映やるんですけど、サブカルなお客さん達はそっちにも来てくれるかなぁ?第一夜って書いてあるから1回きりじゃなくてこの先も予定はあるんだろうけど、お客さんいっぱい来てくれた方がやっぱイベントの頻度も高くなるだろうし長く続いて行くと思うので皆さん是非見に行きましょう!
HMJMナイツ 第一夜「監督失格」+「UNDERCOVER JAPAN」
2011年最大の問題作『監督失格』上映記念。平野勝之監督も参加した幻の傑作オムニバス『UNDERCOVER JAPAN』を蔵出し劇場初上映!
2011年11月19日(土)オーディトリウム渋谷
■上映スケジュール
23:40-開場 24:00-上映開始
『監督失格』『UNDERCOVER JAPAN』上映
■料金(二本立て)
一律2500円 当日券のみ/11月19日(土)20:00より受付開始いたします

 この日上映された『由美香』はアダルトビデオとして発売された『東京~礼文島 41日間自転車ツーリングドキュメント わくわく不倫旅行 200発もやっちゃった!』を再編集して映画にした作品です。カラミのシーンを削った(と言っても全部切った訳ではなくちょいちょいそういうシーンもあります)劇場版。
 平野監督が自転車で日本の最北端を目指すというドキュメントを撮ろうとしていたら、当時愛人関係にあった林由美香さんが「面白そう。私も行きたい」と言い出し、2人で自転車旅行をするのならそれをAVにしようという事になる。が、その企画をV&Rに持っていくと「今は林由美香の名前では作品が売れない、林由美香の名前を出したいのなら最後に彼女にウンコを食べさせろ!それ位やるなら商売になる」と言われ、ゴール地点で彼女にウンコを食べてくれと言わなければいけないという目的を隠しながら自転車旅行をする…という作品です。

 いや、この作品ね、普通に面白いですよ。面白いって言うか楽しい。元々AVとして作られてるので良い意味での軽さというかライトさというか、『楽しいモノ感』があるんです。映画って楽しい作品を目指して作っても、どうしても『楽しい映画』にしかなんない作品ばっかりな気がするんですが、由美香は『楽しい映画』っていう枠をぬるっと飛び出してもうちょっと広いカテゴリーに行ってる感じがします。
 あぁでもこれは私がそんなに大量の映画を見てないからそう思ってるだけでもしかしたらちゃんと探せば同じように『楽しい映画』って枠を飛び出してる映画も結構あるのかもしれないっすね。そういう映画があったらこっそり教えて下さい。見てみます。

 実は上映後のトークショーの冒頭に松尾監督が「『由美香』面白かった?AVの方(わくわく不倫旅行)は見たし面白かったけど。…ホントに面白かった?」と何となく言いたい事があるけど大人だから言わない、けどちょっと言いたい、みたいな雰囲気を出してはったんですが、私だけじゃなく他のお客さんもわーっと笑ってるシーンとかも何箇所もあったし、みんな楽しんでましたよ!
 でもAVバージョンのわくわく不倫旅行の方が時間も長いだろうし、変な制約もないだろうし、2つの作品を比べて見たらわくわく不倫旅行の方が良いって話にどうしてもなっちゃうんだろうなぁ。。。
 実は由美香とわくわく不倫旅行、2つの作品を見ようと思ったら手に入りやすいのはわくわく不倫旅行なんですよ。わくわく不倫旅行はダウンロード販売してるから見たいと思えばV&Rのダウンロード販売のページに行ってお金払えば見れる。由美香はDVDでも出てるんですけどアマゾン見たら売り切れになってました。結構前に発売されてるDVDなので中古を足で捜して歩いて見るか、今回みたいな上映会があるのを神に祈るしかない。だから由美香の方が良いって言われるよりわくわく不倫旅行の方が良いって方が救いがありますな。

 由美香上映後、10分ほどの休憩を挟んでカンパニー松尾監督と東良美季氏のトークショー。1時間以上やってました。80分位かな?由美香の上映時間とそんなに変わらない位の大ボリュームw平野監督も来ないし、15分か20分位軽くトークして終わるだろうと思っててメモ帳とか持たずにふんわりした感じで聴きはじめたら内容は濃いし興味深い情報もバンバン挟みこまれるしでどうしようかと思いました。筆記具を持ってなかったので途中からiphoneでメモを取ったのですが、トークショーの内容をiphoneでってのはやっぱ無理がありますねw自分で読み返してもなんのこっちゃ解んないようなメモしか取れませんでした。すっげぇ濃い内容のトークショーだったから映像か録音でも記録残しておいて欲しいと終わった後に思ったんですが、ロフトプラスワンとかと違って会場に備え付けのカメラとかも無さそうだから何にも残ってないんかなぁ…とりあえずメモを元に覚えてる事を書いていきます。

 ・ 松尾監督が東良美季氏が以前書かれた平野監督についての文章を読んで、それについて色々語りたいって事でトークショー開始。その、今回のトークショーの元になった文章がこちら。 「ネット上にその文章があるので家に帰ったら検索して読んで下さい」って何回も言ってはりました。AV情報誌『ビデオメイトDX』で東良氏が持たれていた『ヴィンテージ~作家別AV作品研究』という連載の2003年6月号から2004年5月号の1年分(!)のテキストなのですっごい長いんですけど、今回のトークショーで喋ってはった内容なども入ってるので是非読んでみて下さい。

 ・ 平野監督が自主映画を撮ってぴあのフィルムフェスティバルで賞をバンバン獲っていた頃『ポストダイレクトシネマの旗手』というように呼ばれていたという話から、ポストダイレクトシネマとは?というお話。
 まず、ダイレクトシネマというのはドキュメンタリー映画のジャンルのうちの一つで、撮影と同時に録音し、ナレーションを入れず、事実をそのまま伝えることを目ざすという作品の事らしいです。
 んで、ポストダイレクトシネマっていうのは、ポストって付く位ですから、そのダイレクトシネマ以降の、ダイレクトシネマを元にしたもっと上位の表現って事になるのかな?上にリンクを貼ってあります東良氏の平野勝之とは何者なのかの中では「カメラ自身がまるで意志を持ったかのように撮り手の思惑すらも超えて暴走する映画」であると説明されています。

 ・ 80年代のアダルトビデオの表現について。
 アダルトビデオというジャンルが始まった時、アダルトビデオ以前からあった同じような目的のメディア・ピンク映画と同じ物を作っても負けてしまうというのがあったのでアンチピンク映画という立ち位置にならざるを得なかった。
 実は日本のエロメディアでは、表のアダルトビデオという物が生まれる前に裏ビデオが存在していた。洗濯屋ケンちゃんなどの裏ビデオは今までの日本人が見た事のないモノ(他人の性交中の局部)を見せていた。
 ピンク映画とは違った表現で、しかもちゃんと表で流通させる商品なので裏ビデオのように局部は見せられない。ではどのような表現を見せるかという最初の回答が『美少女』。
 80年代AVの『野原に白いワンピースを着た美少女が』というような幼い表現は70年代に高校で映画を撮っていたような映画少年の妄想。
 文系の映画少年は普段気軽に話しかけられないようなクラスの可愛い女の子と喋るきっかけとして「映画を撮るから出てよ」という手を使っていた。なので、高校の文化祭で上映されているような映画は可愛い女の子を撮るだけ、という作品が多かった。

 ・ 平野監督がAV監督になった経緯について。
 高校卒業後、地元浜松の工場でアルバイトをして貯めたお金で映画を作り、ぴあフィルムフェスティバルで賞を獲ったりしたので上京してきたが、映画の仕事が無くてコンビニでおにぎりを万引きしたりして暮らしていた。
 平野監督が撮っていた映画は河童の格好をした奴とラッコの格好をした奴が川原で戦うような作品だったので、面白いけどそういう作品を撮る監督に予算を与えて映画を撮らせてくれる人はいなかった。
 河童とラッコが戦う映画の他に、乞食とオカマが川原で戦う映画もあった。今をときめく園子温監督がその映画に乞食だかオカマだかの役で出ていて、川原で戦っていたのだが、裸足でやっていたので怪我をしてしまった。そこから怪我をした園監督が病院へ行く様子を撮影し、手当てを終えてまた川原に戻って戦うという所を作品にしたりしていたらしいです。
 仕事がないので自主映画の頃の知り合いを脅して「何か撮らせろ!」と迫ったらアダルトビデオを撮る事に。そうやって撮影したのが『由美香の発情期~レオタードスキャンダル』。でもこの作品の出来に全然納得出来なかった平野監督は「腰をすえてAVをやりたい」と言い出し、AV監督としてのキャリアをスタートさせたそうです。

 ・ 90年代の平野監督の周りの空気。
 バクシーシ山下監督が日常を映像として記録しなければいけない、という事をしきりに言っていて、松尾監督や平野監督もそれにとても影響されて日常を撮影しまくっていた。林由美香もそれを感じていたのでわくわく不倫旅行の中で2人が喧嘩をした際、それをビデオで撮影していなかった平野監督に対して「監督失格だね」という事を言った。
 バブルが崩壊した後でオウム事件や阪神大震災の前の「終わりなき日常の始まり」の空気。
 バクシーシ山下監督は「(80年代AV的な)美少女は白々しい。それに比べてV&Rがやっていることは清々しい」「昆虫のようにセックスをする花岡じったや(80年代AVには居なかった)少ない時間で何万円も貰えるからとAVに出る女も本能のままに行動していて清々しい」と語っていたそうです。
 安達かおる監督についてはいつか作品にしたいし本も書きたいと語る松尾監督。

 ・ AVの表現はアンチ日本映画・アンチ客観映画。
 「こういうモノを撮ろう」としては撮っていない。そうやって作った作品は失敗している、という話をしている途中で何かに気づいた素振りを見せる松尾監督。「あぁそうか!普通の映画ってのは目的のモノを撮ろうとして撮っているんだ!」。
 松尾監督は昔から映画は苦手でウォン・カーウァイを観るくらいだそうです。
 「自分の現場ではおはようございますみたいな業界っぽい挨拶はしない。朝ならおはようございますは言うけど。よーいスタートという掛け声も使わない」

 ・ 昔のAVのお話。 
 「宇宙少女の父・さいとうまこと監督の現場では撮影しているうちにスタッフがみんな女優さんを好きになってしまうが、アダルトビデオなので最後はその女優さんがセックスしてしまうのは確実。あぁセックスしちゃうんだ、という感じになってしまう」
 「カンパニー松尾監督がパリ人肉事件の佐川一政を長崎オランダ村に連れて行って撮影したAVや遠藤ミチロウが名前を隠して監督をしたAVがある」

 ・ 平野監督は「由美香は(あの有名な人食い鮫の映画の)ジョーズ」だと言っているそうです。
 平野監督は小・中学校時代、図工以外はオール1だったので高校に行けず、浜松中の高校に行けない成績の子達が集まる専門学校みたいな学校に行ったとの事。井口昇監督も小・中学校時代オール1だったそうで、園話を聞いた平野監督は井口監督の事をさんざんいじっていたが実は自分も同じような成績だったと後でバレた。

 ・ ラスト近くで松尾監督が「(ポストダイレクトシネマなど色々な言葉があるだろうが)大切なのは平野監督がどういう位置で評価されるか」「最近はダウンロード販売などで古い作品も見れる。なので90年代のAVをちゃんと(した文脈で)評価して欲しい」という事をおっしゃってました。これは勿論自分の作品を評価しろって意味ではなくwネットを検索したりしても個々の作品についての感想なんかは見つかるけど90年代のAVシーン全体について研究・解説したような文章とかがないからそういうのを誰か書けという事を言いたかったのではないかと思います。

 ばーっと書いていった以外にも「『由美香』は監督失格に至るサーガ」とか気になるワードをいくつかメモしてたんですがどういう話の流れでその言葉が出たとかはっきり覚えてないので省略しました。ごめんなさい。ってか重要ワードをメモする事で後からその言葉が出るに至った話を思い出そうとして書いてるのに頭の容量が追いついてないからその話自体を忘れてるとか最悪ですね。もっと賢い頭で生まれたかった。。。いや、普通のトークショーのレベルなら何とかメモを元に色々書いていけるんですがすっげぇ密度の濃い80分だったのでこれが限界ですわ。
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