前日に続いて豊田道倫映像集3 大阪上映会に行ってきました。この日はお昼頃にプラネット+1から以下のようなメールが到着。
本日の予約:ライブテープ+豊田映像集
××××様

※予約番号は02番です。
19:45分にに番号順に入っていただきますが居られない場合は次の番号の方に先
に入っていただきますのでご了承下さい

開場:19:45~
開演:20:00~
カンパニー松尾 舞台挨拶&ライブテープ上映
(5分休憩)
豊田道倫映像集3 上映

プラネット+1
 昨日は来なかったのに今日はこんなメールが来たって事はあれやな、昨日は予約して行ったの私だけやったんやな…んで今日の予約番号が2番っていうのはこれどう解釈したらええんやろう。私の他にもう1人予約している人が居る事は確実。でも、私が実際に予約メール送ったのって大阪行くの決めてからしばらく経った後で、告知はじまってから結構日にちあったんやけど、私より後の番号は何番まで出てるんやろう。

 不安に思いながらも昨日より遅めの19時40分位に会場前に到着。お!並んでる人がおるぞ!良かった!今日はお客さん多いみたい。お金を払ってチケットを買ってちょっと待ってると入場開始。昨日出入りしたのとは違う、会場後方の出入口から入場。整理番号1番の人が開場時間に来てなかったのでこの日も私が一番乗り。昨日最初に座った一段高くなってる3列目の真ん中に着席。この日は昨日いらっしゃった可愛い店員さんは見当たらず。ちょっと残念。代わりにこのお店のエライ人みたいな感じの男性がモギリとかしてはりました。
 20時ジャスト、時間通りにトークショーが始まる。最初に松尾監督がカバンや紙袋を持って登場。続いて前野健太氏も登場。松尾監督が司会みたいな感じで進行。今回上映するライブテープは1年位前にこの会場で上映された事がある、みたいな話も監督が説明。かなり達者な司会ぶり。
 前野氏、登場時はサングラスをかけていて、初っ端は顔をしかめたりしてらしたのだけれど、結構早い段階で普通のメガネにチェンジ。表情も柔らかくなる。
 ってかすぐ普通のメガネに変えるんやったら何で最初サングラスかけてきてんw
 ライブテープの撮影について。「撮っている時は嫌だった。」「撮影の近藤(龍人)さんがとてもカッコ良く撮ってくれたので、この映画を見て自分のライブに来た人が物販に立っている自分を見てがっかりされる」などと語る前野氏。ライブテープを見て淡い恋心のようなモノを抱いて前野氏のライブに来る方もいらっしゃるそうです。
 松尾監督は松江監督からメールでこの映画を撮ったという報告を受けたそうです。74分をワンカットで撮ったという話を聞いて『激しく』嫉妬を覚えた(この『激しく』というのを何回も強調されてました)と語る松尾監督。
 映像集3について。「カッコイイライブなら沢山のカメラを使って画面を切り替えて、というのもあると思うが豊田さんのライブは格好良くはないので(文字にするときつい感じですが冗談めかしておっしゃってました)1カメで撮っている。」松尾監督が普段AVを撮影する時と豊田さんのライブを撮影する時の違いを尋ねる前野氏。パチンパチンももを叩いて「あぁスゴイ」っていうアクションを何回も繰り返すw豊田さんを撮影する時は「あぁスゴイ」みたいなのはないですね、などと緩い質問をする前野氏。
 ライブテープと同じく前野健太×松江哲明による映像作品DVについて。DVについては初っ端から「あんまりねぇ」と語る松尾監督。「松江のカメラがあんまり好きじゃない」「緊張感がない」などと飛ばし続ける。「大丈夫ですか?」と尋ねる前野氏に「松江君には直接伝えてないけど」と返す。
 「松尾監督と豊田さんには信頼関係があるけど、松江監督と僕の間には信頼関係がありそうでないので、逆に緊張感があると感じました」と語る前野氏。「さっき言ったのはそういう緊張感というより画面の緊張感。画角とかの詰めが甘い。アップなのか寄りなのか引きなのかを意識していない」「近藤さんのカメラも実は好きじゃない(最初ライブテープの話の時は近藤さんのカメラ褒めてはったのにこう言い出されたのでちょっとびっくりした)。追い込みが足りない。どうしても邦画になってしまっている」などと語る松尾監督。松江哲明監督近藤龍人撮影作品を見る直前のトークショーとしては一番アカン感じの話の流れや。。。

 そんなトークショーが終わった直後にライブテープの上映開始。ライブテープはお正月の吉祥寺の街全体を舞台にライブをする前野氏をワンカットで撮影した映画なのですが、前野氏の弾き語りが良いのは勿論、吉祥寺の街の様子など見所も多く、とても面白かった…のですが、直前に松尾監督の仰っていた「画角の詰めが甘い」という言葉の意味が見ているうちに解ってしまいました。そしてそれが思いっきり心に引っかかって何だか純粋に「面白い!」と楽しめなかったよ!見る直前に松尾監督に呪いをかけられちゃった感じです。
 何かね、前野氏が弾き語りをしながら吉祥寺の街を歩くシーンとか、言われてみるとすっげぇ中途半端な映り方なんですよ。ギターの一部が微妙に画面から出てるような画でずーっと撮り続けていたり、引きの画でも前野氏の足が微妙に画面に入ってない状態だったり。多分これが松尾監督が言っていた画角が甘いって事なのかな。もうちょっと引いてギターが画面に納まるようにすればいいのに。もしくはぐっと顔に寄るとか。んで歩いてるシーンの全身を撮るんやったらきっちり全身画面に入ってないと気持ち悪いやん!
 …今までそんなん気にして映像作品見た事なかったのに見る直前に言われたからめっちゃ気になって全然集中出来ない。こ、この呪いは厳しいなぁ。ってか近藤龍人さんでも松江監督でも出来てないんやったら映像でご飯食べてる人でも出来てない人沢山いるんやろうなぁ…うぅ、この呪いを早く解かなければ映像作品を楽しく見れる機会が減ってしまいますよコレ。
 でも!でも!ライブテープ自体はホンマにええ作品なんですよ!この作品で前野氏を知った人が淡い恋心を抱いてライブに来るって言うのすっげぇ解るもん。歌う前野氏は身体の芯にジンジンくる感じで素敵で、指示を出されている時の反応はとてもチャーミングで、2つ目のサングラスをどこからともなく出してきたりとすっとぼけた事もして、と魅力満載。そして街中の色々な場所に用意されている仕掛けや演出側からの指示に対する化学反応。お正月の吉祥寺の街。映し出されているモノはとても興味深く面白いのに、その画面の作られ方、映像の切り取り方がサカムケのようにチクチク気になる。うぅ、ホンマに地味に厳しい呪いや。私の神様=カンパニー松尾監督は信者に絶対忠誠を誓わせる一神教系の厳しい神様でございます。
 もう立派な大御所なんだから後進の監督の作品に対しては良かった所だけ挙げて悪かった所は本人にだけこっそりアドバイスしてあげるとかでいいのに、と思ってしまうのですが、神様みたいな扱いを受けてる大御所の方がこういうの公の場で言っちゃう人多いですよね。手塚治虫とか宮崎駿とか。…考えてみたら松尾監督も漫画界における手塚治虫とかアニメ界における宮崎駿的な立ち位置ですから、同じ事しても不思議ではないのか。でもなぁ、呪いをかけられる信者の方はたまったもんやないですよ。せめて見終わった後のアフタートークだったならしっかりライブテープを楽しめたのになぁ。

 休憩を挟んで豊田道倫映像集3。…確かに、画面の作りに注目して見てみると、すっごいしっかりしてる。ギターで弾き語りをしている姿でも、弾き語りしている人が中心に来るのではなく、弾き語りをしている人の身体の中心が画面の3分の1位の所に来ていて、ギターがバランスよく画面に入る状態になってたりする。
 あと、途中のライブシーンで客席の後ろの方から撮影されている箇所があるんですけど、思いっきりお客さんの頭が画面に入ってきてるんです。これって、カメラの位置を上に上げたりしてないのは、画面の状態っていうか、画面のどの位置に被写体が居るかっていうのを計算し、とりあえず被写体が障害物に遮られる事なく撮影出来てる状態よりも、計算どおりの位置に被写体がいる画面になる事を優先させてる結果なのかと思ったり。
 それから、画面の緊張感。松江監督のカメラが緊張感がないっていうより、松尾監督のカメラが緊張感ありすぎなんじゃないですかと言いたくなる勢いですよ!普段のライブの様子のシーンでも突きつけられるような緊張感が漲ってるのですが、結婚式のシーンの新婦さんのシーンは何回見ても逃げ出したくなる。結婚式なのに新郎の歌に新婦が完全に飽きとるのですよ。全然集中してない。その様子がじっくり映し出されてる。嫌!もう!そんなんじっくり撮影せんとって!幾ら何でも追い込みすぎやで!って顔を背けたくなりますよ。家でDVD見てるなら完全に怖くなって早送りしてますわ。すっごいドキドキするし何だか悲しい気分になるし。あぁでも思い返すとそのドキドキして逃げ出したくなる感覚がちょっと癖になってたり。
 でも、ちょっと思い返して考えてみると松尾監督が『緊張感』って表現してたのってただ単に『緊張する雰囲気』って事じゃないな。画面に引き込まれる引力というか、ぐーっと引っ張られる・引き込まれる感じ。意識が持っていかれるっていうかそういう状態って緊張してても近い状態になるけど、そうじゃないみたいな。…うわ、私説明下手やな。多分全然伝わって無いぞ。
 何かね、ぐーっと作品に引き込まれて鑑賞してると、呼吸が浅くなったり、身体に変に力入っちゃったりとかしてる状態になるじゃないっすか。んで、緊張してる時も呼吸が浅くなったり、身体に変に力入っちゃったりする。肉体的には同じ状態になってるけど緊張をしてるからそうなってるんじゃないみたいな。…この説明も何だかよく解らんな。
 松尾監督が仰ってた緊張感が足りないって言うのは、ただ単に緊張している雰囲気が足りないってのではなく、見ている人を画面に引っ張ってくる力が足りないって意味なんかなぁ、と。見ている人を引っ張るには引っ張り込めるような画面を作らなくてはいけなくて、その辺に対する気配り・配慮が足りないのでは?って事を言ってはったんかなぁと思いました。
 劇場で見る豊田道倫映像集3はねぇ、めっちゃ引っ張り込まれますよ!ホンマに呼吸が適当になったり、身体に変な力入ってて見終わった後にぼーっとしたり。大阪上映会の3日目は終了後に会場から出ようとして思いっきり転倒したりしちゃいました。何か静かに興奮した感じでフワフワしちゃうっていうか、ちょっとおかしな感じになってまうんですよ。
 
 事前のトークショーで神様に呪いをかけられたお陰で神様以外の人が作った作品に没頭できなくて、そして、その後に上映された神様の作品を見て、神様に対する信仰をより一層篤く致しました。
 うーん、でも、私、結構な勢いの松尾信者ですけど、日本人なので八百万の神を信仰するようなカジュアルな宗教とのお付き合いをしたいです。だって画角がどうのとかって松尾監督みたいな地位の人が言ってたら説得力あるしカッコイイけど私みたいなキモヲタが言ってたらしょうもない評論家気取りみたいで最悪じゃないっすか!そういうのに捕われずに沢山の作品に触れて良い所だけを見て過ごしたいんですよ!
 てな事を書いてみましたが、この呪いというのはひとえに私の気の持ちような訳でして。別に松尾監督が悪い訳じゃない。自分で気持ちを切り替えれば済む話なんですよね…この呪いが一刻も早くとけますように。